投資

【米国株投資】IPO初日の値動きから今後の株価推移を分析する

はじめに

 *本ネタは広瀬隆雄氏(@hirosetakao)のTweetを基に私なりの理解のために内容を深堀りしています。

 誤った認識もあるかと思いますが、お気づきの際はご助言いただければ幸いです。

 こんにちは、今回は広瀬さんのTweetからIPO初日の市場の動きから今後の株価推移をラフに推定する考え方を学んだので内容を整理していきます。

 今回題材として取り扱う銘柄は2020年6月16日にIPOされたロイヤリティファーマ(TICKER:RPRX)とします。

Royalty Pharma plc (RPRX) Stock Price, News, Quote & History

 これは、RPRXのIPO初日値動きがかなり理想的な動き(寄付後に安定的な値動き、下げもほとんどない)をしていたため、説明のしやすさから題材として取り扱います。

 広瀬氏のIPO翌日(6月17日(水))の見立てでは、「RPRXの株価は堅調に推移する」「売買ラインは42ドルで売り、46ドルを超えたら買い」という見立てでした。実際のところRPRXの株価はIPO時の値幅をほぼ下回らずに推移しています。(堅調と言えるかは難しいところであるが、少なくともIPO時に買っていれば損失はほぼない。)

 上記のように株価推定といっても残念ながら、「いつまでにいくらの値をつける」という半ば予言のような話ではありません。

 あくまで「当面大暴落リスクは低そう」「売買のラインはいくらくらい」といったレベルの話なので過度な期待は禁物です。

 ただし、投資に際しリスクを見極めることは極めて重要です。投資に絶対はないため、確率が高いサイドに投資行動をすることが利益を上げる基本となります。IPO直後は決算情報などがないため、リスク判定が難しいです。その中で、本記事のネタはIPO直後から大まかにリスク判定をすることができる可能性があるため有用なネタだと考えています。

 過度な期待はせず、ただし、適度に期待して読み勧めていただければ幸いです。笑

IPO初日の値動きから今後の値動きを推定する

 IPO時の値動きから今後の値動きを推定するために見るべきポイントとしては、IPO時の売出し株数とIPO初日の”出来高”、”値幅”が重要です。

 考え方としては「需要と供給のバランス」を切り口として分析を進めます。下記2点について着目してください。

 1:IPO初日の値幅

 ⇒値幅は投資家の「買いコスト」を表します。値幅が大きいほど投資家の買いコストにばらつきが出るので、値下がりした時の売り圧力が高まることとなります。(需要が減る)

 2:出来高

 ⇒出来高の大小で、ある程度の需給状況を推し量ることができます。これは後ほど説明します。

見るべきパラメータ

それでは、上述の2点について数値を検証するため、3つのパラメータを確認してみましょう。

IPO時売出し株数

 RPRXの売出し目論見書を参考にするとIPO時の売出し株数は77,681,670株です。

Source : https://sec.report/Document/0001193125-20-171165/

 これにグリーンシューオプション分15%を加えると、おおよそ8940万株程度が売出しされることになります。(グリーンシューオプションについてはいづれ勉強しますが、理解するのが難しいので、まずは売り出し総数に15%追加で売ることができるオプションであると考えておいてください。)

 IPO時の売出し株数を見るのは、IPO初日の出来高が売出し株数に対して多いのか、少ないのかを確認するのが目的になります。(需要と供給の関係を判断する。)

値動き

 IPO初日の値幅は$42ー$46.2で推移しています。(下図のLow-High価格)

ロイヤリティファーマのチャート

 IPO時の値幅を見る理由を説明します。

 まず、IPO時の値動きは投資家の「買いコスト」を表します。(この値幅内のどこかで投資家がRPRXの株式を購入している。)

 なぜ買いコストを見るのかというと、あなたの立場になって状況を想像してみるとわかりやすいです。

 あなたがRPRXの株を今回の値幅下限値である$42で購入したとします。その後、RPRXの株価が$42から5%上がった場合、心理としてはホールドでしょうか、売りでしょうか?

 大抵の方はさらなる値上がりを見込んでホールドするであろうと考えます。(利確する方ももちろんいます。)

 逆に$42よりも5%株価が下がった場合はどうでしょうか。心理的に「売りたい」という気持ちが大きくなってくるのではないでしょうか。

 この「売りたい」という気持ちこそ「潜在的な売り圧力」であり、株価が下落するリスクサイドになるわけです。

 このことを踏まえて値幅を見る理由を考えると

 投資家の買いコストレンジを把握でき、売り圧力が生じてくるラインが大まかに把握できる

 ことが大きな理由と言えます。

 今回RPRXで言えば、IPO初日の値幅をそのまま売買レンジとして、

$42を下回れば「売り」

$46.2を上回れば「買い」

という判断ができることになります。

 ただし注意点として、この売買レンジの考え方は値幅が狭いときに有効であるということを覚えておいてください。

 これは値幅が大きい場合、含み損レンジが大きくなる傾向にあり、売り圧力が大きくなりやすいです。そのため値幅の上下限値を売買レンジとして考えると危険になることがあると考えられます。(説明分かりづらかったらすみません。。)

値幅と売り圧力の関係

出来高

 最後に出来高を見てみるとおおよそ1350万株でした。(NYSEでは出来高が実際の2倍の量で表示されるため、その半分が実際の出来高になります。)

 出来高を見る理由は、その銘柄の需要と供給バランスを確認するためです。

基本としてIPO時の売出し株数に対し

 ・IPO初日の出来高の割合が大きい(40%以上くらい):供給大と考えられ、IPO後値下がりのリスクあり

 ・IPO初日の出来高の割合が小さい(30%以下くらい):需要大と考えられ、IPO後値下がりのリスク低い(値上がりするとは言ってない)

 この考えの根拠について説明します。

 IPO時は売出し株の10%程度の株が6社前後の大口投資家に配分されます。(テンパーセンターと呼ばれる。)

 IPO後に初値がついてからこれら6社の大口投資家は買い方に回ります。

 この6社が持っている株式数(売出し株数の10%×6社=売出し総数の60%)に対し、出来高が多くなると買い方の大口投資家も手持ち株数が増えるため、買いを渋る可能性が出てきます。

 買い渋りが起こると取引が約定しないため、売り価格を下げて売り注文を出し始めます。これの繰り返しで、値下がりが起こるリスクが高まると考えられます。

 これが、出来高大→供給大でIPO後の値下がりリスクがある。という話の仕組みになります。

推定のロジック

 それでは前節で集めた情報を基に分析を進めます。

見るべきポイントをおさらいすると、下記の2点が重要です。

 1:IPO初日の値幅

  →値幅が狭いかどうかを確認します。

 2:IPO初日の出来高

  →大口投資家の保有株数に対し、出来高の割合が小さいかを確認します。

IPO初日の値幅

 まず、RPRXのIPO初日の値幅は$42ー$46.2で推移していました。これは直近の大型IPO銘柄Unity(Ticker : U),Palantir(Ticker : PLTR)、GoodRx(Ticker : GDRX)などと比べてもかなり小さい値幅であることが確認できます。

 定量的には値幅の平均値から±5%以内に収まれば値幅は小さいと言えるでしょう。

RPRXUPLTRGDRX
安値 [USD]42679.1145.5
高値 [USD]46.276.811.4151.78
平均値(値幅の中央値)[USD]44.171.910.348.6
平均値からの値幅4.8%6.8%11.2%6.5%
直近主要IPO銘柄 IPO初日の値幅比較

 結論としてはRPRXのIPO初日の値幅は小さく、売り圧力も小さい⇒大幅な値崩れリスクは低いと言えます。

 また値幅が小さいことからトレードの目安としては、42ドルを下回れば売り、46ドルを上回れば買いであると考えられます。

 42ドルを下回った場合、IPO初日に銘柄を買ったすべての投資家に含み損が生じている状態のため、売り圧力が強く株価が下がるリスクが高まります。

 一方で46ドルを上回った場合、すべての投資家に含み益が乗っている状態なので、売り圧力は小さいと考えられます。

IPO初日の出来高

 次にIPO初日の出来高について確認します。事前に入手すべき分析に必要なデータは「売り出し株数」「IPO初日の出来高」の2つです。

 そして考えるべき項目は「大口投資家の保有株数に対し、出来高の割合が小さいか」という点です。

まず、売り出し株数の情報を整理すると、

・売り出し株数:7,770万株

・グリーンシューオプションによる追加売り出し数:7,770万株×15%=1,150万株

・合計発行株式数:8,920万株

となります。

 次に大口投資家の保有株数を整理すると、大口投資家6社が持っている株式数はおおよそ発行株数の10%×6社=発行株総数の60%であるのが一般的であることから、

・大口投資家の保有株数:8,920万株×60%=5,313万株

と仮定します。

次に出来高についてははおおよそ1,350万株でした。

 出来高数=売り抜け株数と考えると、今回のIPOでは発行総株数8,920万株に対し、売り株数は1,350万株で、総株数の約15%程度の割合を占めていたことになります。

 一方で大口投資家の目線で見ると、5,313万株に対し、25%程度の買い増しで売り注文を吸収できることとなります。つまり大口投資家の買い余力(需要)もまだ残っていると考えられ、需要と供給のバランスとしては需要が高く、値下がりのリスクも低いと考えられます。

 まとめると、大口投資家の保有株数に対する出来高も小さいことから値下がりリスクも小さい。ということが言えます。

値幅、出来高それぞれの観点で分析した結果をまとめると、

「RPRXは当面堅調に推移していく可能性が高い」

と言えます。

実際の値動きはどうなった?

 それでは、実際分析通りの値動きとなったのかを確認してみましょう。今回の分析の結論としては、

・RPRXは当面堅調に推移していく可能性が高い

・トレードの目安としては、42ドルを下回れば売り、46ドルを上回れば買い

の2点でした。

 2020年10月9日時点のRPRXの日足チャートを見てみると、IPO翌日に46ドルを超え、そこから2週間程度は堅調に株価が推移していることがわかります。(堅調の定義は人それぞれなので、堅調ではないと感じる方もいるかと思います。)

 7月に入ってからはずるずると下げが入りますが、46ドル付近で戻していることからここが抵抗線になっているようにも見えます。

 その後46ドル線を割り込み、42ドル付近まで値下がりしますが、42ドル付近がサポートラインになっている様にも見受けられます。

 上記からトレードの目安として42ドル、46ドルを置いたのはあながち間違いではなかったと考えられます。

まとめ

 今回は広瀬隆雄氏(@hirosetakao)のTweetを基に私なりの理解のためにIPO初日の値動きから、今後の動向を推定してみました。

 結論をまとめると

「RPRXは当面堅調に推移していく可能性が高い」

といえ、その根拠としては下記2点になります。

 ・IPO初日の値幅が狭い

  ⇒売り圧力が小さく、値下がりリスクが低いと判断できる。

 ・IPO初日の出来高が少ない

  ⇒大口投資家の保有株数に対し出来高の割合が小さく、需要は旺盛であり、値下がりリスクが低いと判断できる。

 なお、これはあくまでもリスクが高いか低いかを判断するための分析であり、株価が堅調に推移することを保証するものではありません。ただし、需要と供給の関係からIPO後の値動き、リスクを判断することができるため有用なノウハウであると考えています。

 読みづらい文章だったかもしれませんが最後までお読みいただきありがとうございました。それではまたよろしくお願いいたします。