健康

潰瘍性大腸炎患者が新型コロナウイルスに感染したら-死亡率、重症化率の関係-

はじめに

新型コロナウイルスの蔓延に伴い潰瘍性大腸炎、クローン病などのIBD患者の方はかなり不安な毎日をお過ごしかと思います。(もれなく私もですが)

IBD患者である私たちが新型コロナウイルスを恐ろしく感じるポイントとして

・持病がある方の死亡率が高い

ということが挙げられます。

本記事では新型コロナウイルスを正しく恐れることを目的にIBD患者(潰瘍性大腸炎、クローン病患者)とコロナウイルスの関係をまとめました。

(*本記事は個人的な見解であり医学的知見に基づくものではないのでご注意ください。あくまでコロナウイルスを正しく恐れるために理解を深める目的に執筆しています。)

なお、今回分析に使用したデータベースは下記になります。

世界全体のコロナウイルス罹患者、死亡率、重症化率

Worldoeter : https://www.worldometers.info/coronavirus/?utm_campaign=homeAdUOA?Si

Worldometerは世界人口、死亡者数、森林減少数など様々な数値をリアルタイムでカウントしているWebサービスです。世界最大の図書館協会であるアメリカ図書館協会からも最高のフリーソースサイトとして認められており、ソースの信頼度も高いと考え本記事のソースとして採用しました。かなり多くのもの(世界人口からメールの送信数まで)についてリアルタイムでカウントされているので眺めるだけでも楽しいサイトです。

今回新型コロナウイルスの感染者、死亡者数などについても各国政府の統計をソースとしていると記載があったので情報ソースの信頼性としては十分と考えます。全体のIBD患者のコロナウイルス罹患者、死亡率、重症化率

Secure-IBD Database : https://covidibd.org/

SECURE-IBD(Surveillance Epidemiology of Coronavirus Under Research Exclusion)は、世界のCOVID-19に罹患した成人や小児のIBD患者さんの症例をまとめたデータベースで、世界のIBD研究機関、大学などが協力しています。

本データベース使用時の注意点としては

・症例数は医療機関の自己申告による数値である。

 →軽症者は申告されない傾向にあり、死亡率、重症化率が高めになる可能性があります。

・症例数が未だ少ない。(2020年4月19日現在)

 →本記事では死亡率などを取り扱いますが、症例数がまだ少ないため信頼に欠ける可能性があります。(データ更新され次第こちらの記事も更新する予定です。)

上記をご理解頂いた上で潰瘍性大腸炎と新型コロナウイルスの関係を確認いただければ幸いです。

IBD患者のコロナ症例数

世界

症例数

SECURE-IBDの調査によると、世界の2020年4月18日時点でのIBD罹患者の新型コロナウイルス感染報告件数は580件となります。一見少ないように感じますが、現在世界の人口77億人に対し新型コロナウイルス報告者数が230万人、割合として0.03%となっているのに対し、全世界のIBD患者数は約500万人と言われておりそのうちの580人、割合としては0.01%となるため、規模感としてはあながち大外しはしていないと考えられます。(新型コロナウイルス感染者数自体が正とは言えないので断言はできませんが、参考にはなるかと思います。)

国別の症例数

IBD患者国別のコロナウイルス感染患者数

感染者報告数が多い国としてはUS、Spain、France・・なっておりおおよそ総感染者数の序列と合致しています。日本は現在1名となっています。

死亡率、重症化率

全世界でのIBD患者の死亡率、重症化率は下記表のようになります。

IBD患者の死亡率は3%となります。全体の死亡率も4%と報告されており、IBD患者の死亡率が著しく高いという状況にはなっておりません。

重症化率(重症者数=ICUでの治療患者数とした場合)についても全体の重症化率が4%に対し、IBD患者の重症化率が5%となっており、大きな差はないと考えられます。

日本

日本単体に着目してみると、現時点でのIBD患者のコロナ感染報告件数は1件のみとなっています。日本の全体感染者割合0.008%に対し、IBD患者全体におけるコロナ感染割合は0.0001%となっており規模感が合わない印象です。推察すると、このSECURE-IBDは英語ページのみとなっており、日本国内での認知が広まっていない可能性があります。(協賛機関も欧米圏の機関が主です。)現在日本の炎症性腸疾患学会がSECURE-IBDについて言及しており徐々に日本での認知が広まると思われます。

年齢・性別との関係 

続いて年齢・性別ごとの死亡率について見てみます。

年齢別・性別ごとの死亡率についても感染者全体の傾向と大きく変わらず高齢者・男性の死亡率が高い傾向にあります。若年層の死亡率はIBD患者の方が高くなっていますが、そもそもの集計数が少ないためばらつきの範囲内にあると考えられ、全体の傾向と大きく乖離することはなさそうです。(IBD患者死亡率の95%信頼区間を計算すると区間内に全体の死亡率も入ることからも判断できそうです。)

IBD重症度との関係

IBD重症度別の死亡率、重症化率についても見てみましょう。

IBD重症の方の死亡率、重症化率が高いと考えていましたが、死亡率については軽症、中症度の方と大きな差はなさそうです。重症化率については11%となっていますが、母数が少ないことからまだ有意に差があるとは断言できなさそうです。

治療方法との関係

治療方法別の集計もデータとしてありましたので見てみます。

治療項目については日本語で言われている治療方法と紐づけができなかったため原文そのままで記載します。

まとめ

上記の結果をまとめると、

・IBD罹患者と非罹患者で致死率、重症化率に有意差はない見込み

ということが言えます。とはいえ、まだIBD患者の新型コロナウイルス感染報告数は少ない状況ですので、上記データベースを定期的に確認して分析を更新していきます。

IBD患者ということで新型コロナウイルスを過度に恐れず、(恐れるのはとても大切ですが。)IBD自体精神不安定からくる面も多い病ですので、精神的に追い込まれずQOLを保つ一助になれば幸いです。